入管法は行政権に関する法律であるが、刑事罰が条文に含まれており、その競合、併用は免れないのが実務上の実情である。その折、同時進行することが通常であるため、その関係調整と優先順位が課題となります。同法24条の退去強制事由について例えば、不法入国、不法上陸、不法残に該当する場合、行政上退去強制手続きに移行し、他方、同時に同法70条から刑罰が発生することとなる。ここで、その手続きの優位性に関し、同法63条2項が効いてくる。
この条項によると、刑事訴訟手続き中は刑事手続きを優先することが示されている。
しかし、その「手続き」の内容が明確でないところを要因として、2つの見解が現存している。一つは刑事手続・全面容認説ともう一つは、刑事手続・制限容認説である。が、いずれにせよ、本国は三権分立をとっているのでそれぞれ平等な権利はあるとは考えられるが、日本の秩序と安寧から見れば、刑罰権をないがしろにすることはバランス上問題があると同時に、手続き上も刑事罰の履行のあと、退去強制の執行により行政権も履行でき、ことは合理的に済むこととなる。
今後、実務の運用上の円滑さを目指し、法律の改正や条文の追加等の立法上の調整が望まれます。