現状、外国人の就労ビザに於いてまた外国人在留資格(ビザ)全体のシェアーでも、知名度でも、永住と技能実習を除いてトップ、まさに「日本ビザの王道」というに相応しいビザが在留資格「技術・人文知識・国際業務」――略して通称「技人国」(ギジンコク)―といえる。
現在、コロナ禍においても、通年通リこの時期、卒業を控えた外国人留学生が日本企業に押し寄せて求職をしている最中ですが、このビザは、人気が高いのと表裏一体で審査基準も広域ではなく、受け入れ企業も、受け入れ人材についても許容性の幅がない在留資格といえる。
そのことは、単純労働系の職種はともかく、従来からビジネスとしてメジャーである製造、飲食、サービス等の業態には適合せず、IT関係、経営関連、貿易関連といったある意味現代のエリート的であり限られた業種のみを対象としていた就労ビザであり、雇用側も求職側も正直ストレスの生じる外国人雇用体系であったといえる。
そういう意味で留学した外国人が、修得した日本語を活かして、アルバイトでなくより本格的にサービス業に参入したいという環境が求められていたのは、事実と思われます。
2019年から施行されている特定活動46号は、そのニーズにまさに適合した就労ビザといえる。その名は、「留学生の就職支援に係る特定活動」。名称からは、ややハロー活動に関する支援活動かと感じられるが、内容は、れっきとした就労ビザで、技人国を超えた守備範囲の就労活動である。従来の技人国では認められなかった、一般的なサービス業務や製造業務等が主となる活動を可能とする在留資格(ビザ)である。具体的には、スーパーマーケット等小売店さらにコンビニ、製造業のライン勤務、タクシードライバー等々。そして要件は、日本の大学を卒業している事、この一点となる。すなわち、日本の大学で得た、学術上の素養と確立した日本語能力を活かして、製造、サービス部門において一定以上の業務遂行を予定しているものである。ガイドラインには「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」「日本の大学又は大学院に於いて修得した広い知識及び応用的能力等を活用するもの認められること」と定義されており、現場におけるリーダーとして、さらに商品開発、広告企画、営業等日本人とのコミュニケーションをフル活用し推進する業務を期待されている。
そういった意味では、これから、日本に於いて今後大きく貢献して行くであろう特定技能、技能実習生との関係、関連に於いても、また、新たなホワイトカラーのビザ創設という意味合いでも、このソフトな就労ビザは、イイネ、でありタイムリーといえる。
まさに、LIKE技人国、「擬人国の技人国」即ち「擬人国ビザ」は日本における外国人就労ビザの新たな扉を開いた画期的なビザといえるのではないでしょうか。