専門家コラム

入管法とその周辺法令について

入管法の関係法令としては、入管法施行令、入管法施行規則あるいは、基準省令等がありますが、入管法のある種例外的な規定の性質を帯びている法令規定が存在する。

例えば、入管法2条の2第1項の条文中に「――― 外国人は、入管法および他の法律に特別の規定がある場合を除いて、、、、」という言葉があるが、このフレーズは度々入管法の中に登場しますが、この下線の部分の具体性について言及してみると、

まず、入管法の特別規定としては、同法14条~18条の2(上陸の特例)、13条(仮上陸の許可)他13条の2、22条の2第1項等があります。一方、他の法律の特別規定としては、入管特例法が存在します。1991年11月1日施行された法律で、戦後のサンフランシスコ平和条約に基づき国籍を離脱した、外国人の立場を整えた法令であり、正式名称は「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者達の出入国管理に関する特例法」といい、他の外国人とは、異なったアプローチで日本に住している。すなわち、国籍離脱者及びその直系子孫(日本で出生)は特別永住者という法的地位を持ち上陸、退去、再入国等の特例を適応することを定めている。

 

 

退去強制と刑事罰の競合と優先について——-入管法63条2項——-

入管法は行政権に関する法律であるが、刑事罰が条文に含まれており、その競合、併用は免れないのが実務上の実情である。その折、同時進行することが通常であるため、その関係調整と優先順位が課題となります。同法24条の退去強制事由について例えば、不法入国、不法上陸、不法残に該当する場合、行政上退去強制手続きに移行し、他方、同時に同法70条から刑罰が発生することとなる。ここで、その手続きの優位性に関し、同法63条2項が効いてくる。

この条項によると、刑事訴訟手続き中は刑事手続きを優先することが示されている。

しかし、その「手続き」の内容が明確でないところを要因として、2つの見解が現存している。一つは刑事手続・全面容認説ともう一つは、刑事手続・制限容認説である。が、いずれにせよ、本国は三権分立をとっているのでそれぞれ平等な権利はあるとは考えられるが、日本の秩序と安寧から見れば、刑罰権をないがしろにすることはバランス上問題があると同時に、手続き上も刑事罰の履行のあと、退去強制の執行により行政権も履行でき、ことは合理的に済むこととなる。

 

今後、実務の運用上の円滑さを目指し、法律の改正や条文の追加等の立法上の調整が望まれます。

 

 

トランジットと査証について

上陸許可の条件である、査証について、日本寄港(トランジット)について、触れてみたいと思います。結論的に、査証の必要はありません。通常トランジットのケースとして、3つ考えられます。

① 数時間の立ち寄り

この場合は、単に、一度下りてトランジットエリアに留まるだけですので、上陸申請の機会はなく査証は不要となります。

➁ 同じ空港から出発するが、数日間に渡って寄港する場合。

このケースは、入管法14条の寄港地上陸の許可をうけて上陸することになりますが、査証は不要です。ただし、上陸時間は72時間以内で、行動範囲は、   寄港地の所在する市区町村の範囲以内とされます。

③ 寄港した空港と再度出発する、空港が異なる場合

このケースは、入管法15条の通過上陸の許可を受け、この場合も査証は不要となります。上陸期間は3日間以内で、通過経路は原則これから出国する空港の順路によって定められます。

 

➁及び③の上陸申請は、その船舶の長又は、運送業者の責任と権限においてなされるものである。また、上陸の際、入国審査官は、当該外国人の旅券に寄港地上陸の許可又は通過上陸の許可の認証をしなくてはならない。

上陸の申請の際の個人識別情報の提供義務について

 

外国人が日本に上陸するための審査に於いて、手続き上重要なポイントとして、個人識別情報の提供義務があります。(入管法6条3項)

個人識別情報とは、指紋、写真等となりますが、これは、①テロリスとの水際対策及び➁過去退去強制があった者が旅券の偽造変造等で入国するのを防ぐための意図があり、一部の例外者を除いて、必須であり、その提供を拒んだ場合は、入国審査官の上陸審査を飛ばして特別審査官に引き渡され、口頭審理に際しても提供を拒めば、法務大臣への異議申し立ての権利もなく、日本からの退去を命じられることになります。

 

例外対象者 ①特別永住者 ➁16歳未満もの ③在留資格外交、公用に該当する者 ④国の行政機関の長が招聘する者 ⑤上記③④に準じ法務省令で定める者

難民認定と在留資格

昨年2019年、日本における難民申請者10,375人中認定者は44人。実に認定率は0,4%と低い状況です。ちなみに、ドイツは25,9%、アメリカが29,6%、フランスが18,5%、イギリスが46,2%、カナダに至っては55,7%となっている。

日本は、政治的にも、国内の受け入れ体制的環境においても、その関心レベルはまだ、国際基準に達していないといえるでしょう。その原因は歴史的背景等様々な要素が考えられると思われますが、そのことは、改めて言及すべき視点と思われます。

今回は、現状における実務的進行について述べてみたいと思います。

直近の入管法では、2010年3月~2018年1月までは難民申請から6か月経つと一律で日本での就労は可能な在留資格「特定活動6月」が付与された為、難民申請が2010年を起点として急増しました。が現在は、制度改正となり、申請者は激減しましたが、現在でもその6か月の特定活動保持者は雇用が可能となります。そして、現在は、仮滞在の許可が制度化され、難民認定申請者が一定の条件満たす場合は、その者の法的地位の安定を図るため、仮に本邦に滞在することを許可され、その間退去強制手続きはされないことになっています。

そして、法務大臣が難民認定をした外国人には、難民認定証明書が交付され、条件を満たせば、定住者の在留資格を付与され、本邦での在留を認められます。

また、難民認定を許可されなかった場合や難民の認定を取り消された場合は、法務大臣に対して、審査請求をすることができ、現在では、一定の研修を受けた特定行政書士は、その代理人として機能することができる事となっており、行政書士の役割幅が増加したといえます。

新型コロナ感染症に関する入国規制の緩和に対する人道的、家族的考察

 

新型コロナ感染症の行方、状況は、まだまだ出口の見えない不透明な状態が続いています。

政府も、オーストラリア、ニュージーランド、ベトナム、と入国制限緩和に対する話し合いを示唆しながらも、現実には南米、アフリカさらに日本も感染者数が増加しており、収束に向けてなかなか困難を極めている状況となっております。

一方政府は、諸外国に対する入国規制の緩和に関して、日本国内の感染収束後に3段階での緩和を想定していることを明らかにしている。

  1. ビジネス客及び研究者
  2. 留学生
  3. 観光客                                                                  の順である。これらの背景は、経済優先の方向で検討していることは、総体的には一般的見解であり妥当と思われますが、よりリアルに、法務省入管業務として個別的に考えた場合、まず考えなくなくてはいけないのは、人道的立場であり、家族的立場であると考えます。例えば、新型コロナ感染が始まった前後に申請した家族的在留資格認定(日本人の配偶者等や連れ子定住者、及び家族滞在等)が下りた方々の入国及び一時帰国で家族が分断されている状況の外国人や日本で就労し母国の家族の生計を支援している方々の早期再入国を最優先に取り組む姿勢が必要と思われます。

 

 

 

第三の就労カテゴリー、特定技能ビザ 受入れコンセプト

現在就労系在留資格は就労型と経営型の2つに分けられると思いますが。

その中、被雇用型就労ビザは、大別して3つのカテゴリーに分かれます。①ホワイトカラー系②クラフト(職人)系③レイバー(労働者)系でありビザの種類で言えば代表的には①技術、人文知識国際と企業内転勤、②技能、③技能実習及び特定技能、等と分類されます。

その中で現在日本社会の構造的に特に需要が高まっているのは、③のカテゴリー建設業、外食業、宿泊業等であり、殊に建設暁関連は人材不足が深刻に差し迫った状況になっている。しかしながら現在新型コロナウイルス感染症の影響で大幅な入国制限措置が行われており先の状況は不透明であり、人材不足の対応を進展するにあたって明確な予定計画は滞ることは致し方ないと思われます。そこの現実を見据えながらも、今後の基盤基幹となる建設業の安定化に対する改善策を前向きに構築していかなければならないことは否めません。

現況に於いて建設業界においては、外国人の人手を増加していくにあたっては、技能実習生と特定技能の関連を明確にし、その移行を進展させていく為に、それらに携わる機関の充実が喫緊時と思われます。そして、その中核をなすのが外国人労働者の受け入れをケアしコーディネートする役割の登録支援機関の存在となります。そしてそれは数というよりも質の高さを追求し、外国人の人権を尊重したアプローチのできる総合プロデュースコンサルタント的機関が望まれると考えます。概して職場での働く条件や優遇に重点が置かれがちですが、5年なら5年間を見据えた生活環境の整備、さらに日本の文化慣習を短い間にも習得できるようなプログラムの中で楽しく安全で有意義のある日本ライフを望めるシステムの設計が是非とも必要と考えます。その生活ソフトを重視した環境づくりのできる、言ってみれば「日本のもてなしの心」が反映された受入れ機関の構築が必要と考えます。

今回は若干観念的な入れ込みが注入されたデスクコラムになりましたが、上記受入れコンセプトはあらゆる意味で不可欠な事項と思われます。

 

現在長野市でVISAデスクを運営する、特定行政書士のPI企画宮尾行政書士です。

あなたのビザライフを応援します。グッドラッグ…

 

 

 

 

国際結婚、どっちが先?配偶者本国それとも日本?

今回の宮尾デスクは、ちょくちょく相談が持たれる、国際結婚について言及したいと思います。まず、課題になるのが日本か外国か、どちらかで先に結婚、入籍をするかという事ですが、現在中長期在留者が結婚される場合は、日本で先に結婚するのが一般的かと思われます。日本で先に結婚(入籍)し、在日母国大使館に、結婚報告的手続きをして両国での結婚が完了となります。その先に在留資格変更を上げることになります。

一方、日本人が日本に在留していない方と結婚する場合は、一般的には、先に相手の本国に於いて結婚し、その結婚受理証明証を持って、日本のあなたの市町村に届けるのがベターとなります。理由は、短期滞在ビザで外国の方が来られても在日大使館で婚姻要件具備明書を取ることが困難であるからです。

ただ、韓国籍の方は、90日ビザ免除国であり、また、在日韓国大使館で結婚のための必要書類が取得できるので、日本で先に結婚する方が手順はいいかと思われます。

いずれにせよ、両国で結婚が成立したあと、日本で暮らしていく場合は、在留資格「日本人の配偶者等」を取得することになります。

 

長野市で、外国人ビザ申請取次をしている、あなたのビザライフをサポートする、PI企画宮尾行政書士の宮尾デスクです。

「在留資格該当性」と「相当性(狭義の相当性)」

本年のコラムは在留資格申請におけるより、現実的なかつ深層的角度で追求し、言及してみたいと思います。題して「入管申請宮尾デスク」

第一回目は、在留資格認定、更新、変更における判断基準要素の両輪である「在留資格該当性」と「相当性(狭義の相当性)」について、研究してみたいと思います。

在留資格の申請に当たって、立証責任は言うまでもなく申請人側にある訳ですが、申請に当たり、必用書類、学歴、実務経験、在留期間、親族関係等は申請人の持つ外用であり、当然その在留資格を取得あるいは、継続する上で必要な要素といえるもので、一方相当性とは、そのうえで、実体が伴っているかを判断する内容的、実質的な要素と言える。即ち、その人持つ(在留資格に対する)クオリティという事が言えると思います。留学ビザでしたら、日常的に学校に行き学んでいるか、就労ビザでしたら、専門業務でしっかりと実務をこなし会社に貢献しているか、日本人の配偶者ビザであれば、同居し、円満に夫婦生活を営んでいるか等、当初の目的、資格に見合った生活を日本に於いて真面目にかつ安定した形で遂行しているかが診られ審査されるという事である。よって申請に当たっては、形式的書類に合わせて、内容実体にイレギュラー的な部分があれば、それを補足説明する資料や説明書を準備すべきであり、また、より有利な側面があれば、最初から、その資料を提出し主張すべきであると言えます。

特定技能―1号特定技能外国人支援計画書について

1号特定技能支援計画書は、法務省 特定技能に関するHPに参考様式が掲載されています。

外国人を採用する際、その都度作成し申請するシステムとなっておりますが、内容は、特定所属機関(受け入れ企業)か、その企業に委託された登録支援機関が、雇用される外国人に対して事前に説明すべき事柄(会社の活動内容、入国手続きの内容、費用について、報酬について等)や住居についての契約内容の説明、及び銀行口座、携帯電話、電気ガス等のライフラインの手続きについて、日本語学習の機会、苦情相談の日程と方法、日本人との交流会の予定、会社側の予定で転職する場合の説明、定期的な面談と行政機関への通報等、9項目にわたってその実施説明の日程や説明方法(対面、テレビ電話、手続き同行等)責任者等を明記記載して報告する内容となっています。しかも、それは、当事者の外国語で説明を要する事が要求されており、かなり詳細でもあることから、それなりのスタッフ勢が準備されていないと作成ができない内容となっています。

ですから、受入れ企業は、その点を考慮判断して、自社で全てを賄うのか、登録支援機関に支援業務を委託するのか検討していく事になりますね。

関東一円、甲信越に於いてあなたのビザライフをサポートする、長野市にオフィスを持つ、PI企画宮尾行政書士の宮尾です。特定技能1号外国人の受け入れについて検討している建設業、宿泊業、外食業の企業様お気軽にご相談下さい。Goo Luck..